第11章 菅原先輩。
きつく抱きしめられる。
突然のことに、体が固まってしまった。
「どうでもよくなんて、なるわけないだろ…。本気なんだから、そんなに簡単に好きなことをやめることなんてできないって。」
間近に聞こえる先輩の声に、心臓がぎゅっと縮む。
でもそれと同時に深く安心する自分もいた。
そう、この声。
穏やかで優しいその声に、私はまたときめいてしまう。
「今の、本当だよな?」
「え?」
「俺のこと、好きって…」
「冗談でこんなこと言いませんよ…」
「そうだよな。じゃあ本当に…」
やっと、俺だけのものになった。
耳元でそう囁かれ、思わず先輩から離れようとするも、ぎゅっと抱きしめられていてそれは叶わなかった。
「逃げるなよ、やっと捕まえたんだから…。」
抱きしめられたまま、髪を優しく撫でられる。
ときめきと安心に包まれて、私は自分の熱が上がっていくのを感じた。
「俺、結構独占欲強いよ。あとこうやって、くっつくのも大好き。…だから覚悟してな?」
言葉を発する代わりに、先輩の背中に腕を回してそれに応えた。
「あーもう…可愛いな、離したくなくなる。」