第11章 菅原先輩。
そして、迎えたバレンタイン。
今日は3年生の登校日だ。
清水先輩が菅原先輩に告白すると言っていた、その日。
私には清水先輩を止めるような権利もないので、いつものようにただ授業を受け、部活に出た。
でも、自分では普通にしているつもりだったけれど、やはり元気がないのを悟られてしまったようだ。
影山くんが声をかけてくる。
「おい、この前からずっと元気ねえぞ。どうしたんだよ。」
「うん…」
影山くんが心配してくれるのは嬉しいけど、彼に何と言ったら良いのか分からないので相槌を返すことしかできなかった。
「……菅原さんのことなんだろ。」
「え…」
驚いて、影山くんの顔を見るも、彼は別の方向に視線をやったまま私を見ない。
「いつも見てたから、お前の考えてることくらい分かるんだよ!」
「影山くん……」
影山くんのその言葉に、私は思わず目頭が熱くなってしまう。
「おい、泣くなよ。…ちょっと外出るぞ。」
そう言って、影山くんは体育館の外に私を連れだした。