第11章 菅原先輩。
たまたま校内で見かける菅原先輩の姿に声をかけようとするも、その隣には笑顔の清水先輩が歩いていたり。
また、別の時には女子の先輩の重そうな荷物を持ってあげようとしているところを見てしまったり。
そういう時、菅原先輩はいつも私に向けてくれていたあの笑顔を、他の女の子にも向けていた。
それを見ると、何だか自分が菅原先輩に特別に思ってもらっているなんて思うことが驕りのように感じて、自己嫌悪に陥った。
あんな風に他の子に、笑ってほしくない。
笑わないで。
菅原先輩に笑ってほしくないと感じるなんて、初めての事だった。
どんどん自分のことがわからなくなる。
悪い方へ悪い方へと考える自分のことが、私は本当に嫌になっていた。
そんなことをしている間に、とうとう3年生は自由登校の期間に入り、校内ですら菅原先輩の姿を見ることはできなくなってしまった。