第11章 菅原先輩。
2月の中旬の外気が肌を刺す。
それでも、体育館の中で皆の注目を浴びながら話すよりはずっと良かった。
影山くんは、自分のジャージの上を脱いで私に放り投げてくる。
慌てて断るも、いいから着てろよと怒鳴られてしまった。
大人しく袖を通すことにする。
「ごめんね、影山くん…」
「それより、何があったのか話せよ。」
そう促され、私は素直に今までの経緯と気持ちを話すことにした。
3年生が引退して心にぽっかり穴が空いてしまったこと。
清水先輩が菅原先輩を好きだということ。
そして今日、気持ちを伝えるということ。
もやもや、うじうじ考えている自分が嫌で仕方ないということ。
すべて聞き終わったところで、影山くんは大きなため息をついた。
「お前それ、もう答え出てんじゃねえか。」
「え…?」
「清水先輩に菅原さんのこと、取られるの嫌なんだろ。」