第2章 新生活
「悪い…忘れろ。」
私に背を向けて歩き始める。
まだ何となく酸素が薄いような気がするので、一回深呼吸してから影山くんを追った。
そして、セカンドバッグごと彼に渡す。
「みんな、影山くんにあげる。」
「は?」
「そのかわり、ちゃんと全部食べてね!時間かかってもいいから。心込めて作ったんだよ。」
押し付けられたセカンドバッグを受け取り、影山くんは呆然としていたけど、すぐに正気を取り戻してお礼を言ってくれた。
「…サンキュー。」
結局、朝練のときにそのクッキーの山は先輩たちに見つけられたらしく、皆で仲良く分配することになったようだけれど。
あんなに喜んでくれるなら、また作ってみようかなと思わせる出来事だった。