• テキストサイズ

【HQ】春が始まる。(烏野逆ハー)

第10章 「春」




そう言って影山くんは歩き出す。
そして私の方にちらりと視線をやってから再び口を開いた。



「お前、具合でも悪いのか。」



「え、なんで。」



「マスクしてるから…。」



影山くんにそう言われて初めて、自分がマスクをしていたことを思い出した。



「あー、これね。風邪予防と寒さ対策!」



「寒さ対策?」



「だってさ、顔ってマスクでもしない限り冷気防げないじゃん。これしてるとあったかいんだよ。」



「お前、寒いといつもぎゃーぎゃー言ってるもんな。」



「はは……おっしゃる通りで。」



影山くんは、前に戻していた視線をもう一度私の方に向けてくる。



今度は、手元。



「その割には手袋してねえじゃねえか。」



「あー!!!」



これまた、影山くんの言葉で手袋を忘れていたことを思い出す。



部屋で準備していたとき、煩わしいから最後につけようと後回しにして、そのまま忘れてしまった。



「バカじゃねえの。顔より普通、手だろ。」



「自分でもそう思うから、もうそれ以上触れないで。」



マスクの下で苦笑しながら影山くんに伝える。


/ 767ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp