第10章 「春」
クリスマスが終わり、街からクリスマスツリーが消え去ったと思えば、今度は新しい年に向けてその空気はどんどん慌ただしくなっていった。
今日は12月31日、大晦日。
今年も、もうあと少しで終わろうとしている。
私は今、自分の部屋で出かける支度を整えていた。
これから、バレー部の皆と初詣に行くことになっているためだ。
年越しの瞬間を家族以外と迎えるのが初めてな私は、皆で初詣に行くことになってから今日までずっとこの日を楽しみにしていた。
お母さんも案外簡単に了解してくれて助かった。
どうやら菅原先輩の存在が安心材料になっているらしい。
支度を終えて、部屋の壁掛け時計を確認すると、もうそろそろ待ち合わせの時間だった。
今日は特に時間も遅いし、皆が家まで迎えに来てくれると聞いていた。
「いってきまーす。」
両親に挨拶をしてから、家を出た。
ドアを閉めて振り返ったところで、私の瞳は一人のよく知る人物を捉える。