第10章 「春」
そこから駅前のお店を探したけど、やっぱりそこはクリスマスイブ。
どこも人であふれていた。
「やっぱすごいな、人。どこ入ったとしてもちょっと待つしかなさそうだな。」
「そうですねー。」
相槌を打って歩きながら、私は辺りに比較的空いていそうなお店がないか探していた。
そんな中、私は目に入ったお店を見て突如として思いつく。
「あ…………」
「ん?」
「菅原先輩!ありましたよ!チキンもケーキも食べられて、すぐ入れるところ!」
「え?!何、どこどこ?」
「ほら!!」
私が指す方向を見た先輩は、不思議そうな顔をした。
「え、コンビニ……?」
「イートインですよイートイン!ほら、ちょうど席あいてるし、行きましょう!」
「あ、おい!ちょっと待って!」
コンビニに入ると途端に温かい空気に包まれて、寒さで強張っていた体がゆるゆるとほぐれていく。
「なあ、ほんとにここでいいの?」
お店の人に気を遣ったのか、先輩は私にコソコソと耳打ちをしてくる。
「はい!だって、チキンもケーキもあるし!すぐ座れるし、あったかいし!」
「…………」