第10章 「春」
心ゆくまで光の海を堪能したところで、二人でまた駅までの道をたどる。
その道中も、先輩は私のことを気にして、しきりに話しかけてきてくれた。
「菜月、お腹すかない?家までもつか?」
「あー……お腹すきました…でも、何とか頑張ります……」
「どこも混んでるだろうけどさ、せっかくだしどっかで食べてくべ!」
「え、ほんとですか!」
「菜月が良いならな。だって、俺がまだお前と居たいから。」
「菅原先輩……」
相変わらず先輩は直球だ。
また、心臓がドキンとはねる。
先輩の彼女になったら、こういうのにも慣れる日が来るんだろうか。
「な!行こう!」
「……はい!」
私が嫌がっていないことを知ると途端に強引になる先輩に、私は笑顔で了解の返事をした。