第9章 代表決定戦
大地さんの隣に腰掛け、私は彼の背中に手を当てた。
そして、ゆっくり落ち着かせるようにその広い背中を撫でる。
背中の感触に気付いたのか、大地さんはすぐに顔を上げた。
その顔は、とても驚いたような表情をしている。
「あ……ごめんなさい。なんか、私ならこういう時、人のぬくもりが欲しいかなとか思ったから……。」
「……サンキュ、嬉しいよ。なんか落ち着く。」
「……それなら良かったです。」
大地さんがそう言ってくれたから、私はそのまま彼の背中に私の体温を送り続ける。
折れそうなとき、誰かが側にいることは、きっと力になる。
そう信じて。
しばらくそうしていたら、隣で大地さんが口を開く気配があった。
「俺さ。あいつらのこと、信じてないわけじゃないんだ。俺がいなくたって、きっと勝ってくれる。そう思うんだけど………やっぱり早く戻らなきゃって焦る自分もいて。
……これじゃ、信じてないのと同じだよな。情けない。」
自分のことを本当に情けなく思う。
そんな哀しい表情をしてから大地さんは力なく笑った。
それを見た私は、また胸が締め付けられるように苦しくなる。
そんな風に笑わないで。
無理して笑わないで。