第2章 新生活
次の日の朝、私は絶対遅れないように目覚ましをいくつか鳴るように設定した。
影山くんとの練習に遅れないために。
その作戦が功を奏し、何とかきちんと起きることができた。
今朝は気持よく晴れている。
清々しい朝だった。
昨日の帰り道のことは、正直良く思い出せない。
ただひたすら私がテンパっていたように思う。
菅原先輩はいつもと変わらなかったはずなのに。
私、菅原先輩と何を喋ったんだっけ…
今日からは普通にしよう!
そう心に決め、電車を降りて改札を抜けると、逃走中の犯人を追う刑事のような眼力でこちらを睨んでいる影山くんを見つけた。
驚きから、心臓が跳ねる。
大きな柱を背に、挑むように改札方向を見据えている。
あまりにも視線が鋭いため、私の周りにいた乗客の中にも驚いたような様子の人が何人かいたのが見受けられた。
そりゃそうだ。
影山くんを知っている私だって驚いた。
影山くんは私に気付くと、鋭く保っていた眼光の度合いをいくらか下げ、挨拶をしてくれた。
朝影山くんと会うのは、あの雨の日以来でまだ2度目の事だった。