第9章 代表決定戦
準々決勝の対、和久南戦。
第1セットも20点台に乗ろうとした時、それは起こってしまった。
こぼれ球を拾おうとした大地さんと、田中先輩の激しい衝突。
体育館は突然の事態を受けて一時だけ静寂に満ち、次の瞬間にはコート内で倒れたままの大地さんを心配する人達の声でざわつき始めた。
私も、一瞬で血の気が引いていくのを感じていた。
そんな。
大地さんが………
「大地!!!」
「澤村さん!!!」
「澤村!!!」
動転した皆が大地さんを呼ぶ声で、かろうじて正気を取り戻す。
倒れたままだった大地さんも、みんなの声に反応してゆっくりとその身を起こした。
それを見て、少しだけ安心する。
意識がなかったらどうしようかと思った。
起き上がった大地さんは体のふらつきもなく、武田先生が確認のため行った質問にも正しい返答をしていた。
その上、衝突した相手である田中先輩にも気を遣っている。
田中先輩の動揺をやわらげるためだろう。
こんな時にまで悲しいくらい、どこまでもあの人はキャプテンなんだ。