第9章 代表決定戦
結局、ストレートで条善寺を下した私達は、明日の準々決勝へと駒を進めることになった。
会場を去る間際、一人で最後の荷物チェックをしていた私は、条善寺の彼に声をかけられた。
負けちまったから、お前のことはキッパリ諦める、ということだった。
何と言っていいか分からず、視線を彷徨わせていると、彼は更に続けた。
「もし烏野の中で彼氏選ぶなら、俺は絶対キャプテンがいいと思うぜ。」
じゃあな。
それだけ言うと、私に背を向けてから軽く手を上げて、彼は去っていった。
あんなチャラい人にも認められるなんて、さすが大地さん。
プレーの中で、きっと彼も気付いたんだろう。
烏野の土台の力に。
そのことが無性に嬉しかった。
そうですよ、烏野の土台は強固なんですよ。
大地さんが支えてくれるからこそ、皆の攻撃も冴えるんだから。
やっぱりすごい、烏野のキャプテン!!
そんな風に改めて思った。
そんな矢先、次の試合で彼を欠くことになるなんて、私はこのとき微塵も思っていなかった。