第9章 代表決定戦
その会話に軽く怯えていると、少し前を歩いていて、もう話している二人の前を通り過ぎていた影山くんが、いきなり踵を返して戻ってきた。
そして黒いオーラを放ちながら問題の二人の前に立つ。
「さっきから黙って聞いてれば……全部聞こえてんだよコラ。」
「「ひい!!!」」
「ちょ、ちょっと影山くん!試合前に揉め事は…」
慌てて諌めようとした私を、影山くんは手で制する。
「こいつに手出したらタダじゃおかねえからな。よく覚えとけ。」
「「…………。」」
それだけ言うと、影山くんは再び二人に背を向けて歩き出す。
私もそれを少し遅れて追いかける。
後ろからは、影山くんにすごまれた二人が「怖えー」なんてまたヒソヒソやっているのが聞こえた。
「おい!俺の側から離れんじゃねえぞ。」
「え、う、うん…」
「ボケっとしてんじゃねえよ!そうやって隙があるからあんなこと言われるんだろうが!!」
「ご、ごめん……分かったから怒んないでー…」
「俺の視界から一瞬でも外れたらどうなるか分かってんだろうな。」
「ええ……!そしたら私、試合中はボールにならないと無理だね。」
「ツッコむとこ、そこじゃないでしょ菜月……」
近くにいた月島くんが呆れている。