第8章 春への道
唇が触れそうになる瞬間、月島くんは、フッと鼻で笑ってすぐに私から離れていった。
「あー、菜月からかうのってやっぱり面白い。」
「な………!!!ひ、ひどいー!!」
「でもさ、嫌いじゃないでしょ?こういうの。」
「え…?」
「やっぱりMっぽいよね、菜月って。」
そう言って月島くんは意地悪く笑う。
否定したところで月島くんには口では勝てないだろう。
それに、自分でもつい最近、そうなのかなと思ってしまったばかりだったので尚のこと否定できない。
だから私は押し黙る。
「僕のところに来たらさ。毎日思う存分いじめてあげるから楽しみにしてなよ。」
「…………!!!」
月島くんの言葉に体の中心が熱くなるような感覚があった。
それと同時に背筋がゾクリとなる。
恥ずかしくて、私は月島くんから飛び退いて離れた。
「そ、そんなの聞いて喜んだら私ほんとに変態みたいじゃん!!」
「あれ、違うの?………違わないよね?」
「もう!月島くんてば、やめてよー!!」