第8章 春への道
返ってきた予想外の返事に思わず大きな声を出してしまう。
余計なお世話なのだけど、月島くんと彼のお兄さんとの関係を前々から気にしていた私は、彼の行き先を聞いてテンションが上がる。
そんな私の様子を見て、月島くんは怪訝な表情を浮かべた。
「前から思ってたんだけどさ。菜月って兄貴の話になると嬉しそうだよね。」
「え?そうかな。」
確かに“二人の仲”という意味において、とても気になってはいるから、度々彼にお兄さんのことを尋ねたりはしていた。
その時の態度がおかしかったということかもしれない。
「まさかとは思うけど兄貴のこと…」
「いや、こんなふうに言ったら逆に失礼かもしれないけど全然そんなことないから!」
「…………あ、そう。」
自分で聞いておきながら、興味なさそうに月島くんは私から視線をそらす。
「最近さ、兄貴の所属してる社会人チームの練習に参加してるんだよね。」
「!!そうなんだ………!社会人チーム!なんか強そうだね!」
「………… 」