第8章 春への道
代表決定戦も間近に迫った休日の部活後。
片付けをしているところで、体育館の外で携帯を耳に当てる月島くんの姿を見つけた。
盗み聞きするつもりはなかったので、すぐその場を離れようとしたけれど、案外電話はすぐに終わってしまう。
「……うん、今日も行くから。じゃあ。」
短い通話を終えて顔を上げた彼とバッチリ目が合った。
「ご、ごめん!別に盗み聞きするつもりはなかったんだけど…」
「別に聞かれて困ることなんて話してないし大丈夫だよ。」
月島くんは、少し呆れたような視線を私によこしながら言う。
「これから、どこか行くの?」
「ちょっと兄貴のとこにね。」
「え!お兄さん!!」