第8章 春への道
「え、ええと……うん。多分。バレーしてない影山くんなんて想像できないもんね。」
「見ろ月島!!」
「……今の、脅迫っぽかった気がするけど。まあ実際、王様に告白してきた女子と付き合ったら何日も経たないうちに音を上げるだろうね。」
「だから、他の女なんて興味ねえっつってんだろうが!!」
「あーもうだめだめ!影山の受け答えがいちいち菜月へのアピールに繋がってるからこの話題終了!!」
菅原先輩が二人のやり取りに割って入ったところで、何となくその話題を終えることとなった。
私も恥ずかしくてどうしたらいいか分からなくなっていたのでありがたかった。
帰り支度を整えながら私は、さっきの影山くんの言葉について考える。
初めて同士がずっと一緒にいれば過去なんて無いんだから関係ない。
まさにそうなのだ。
でも、お互い初恋同士で結婚とかまで行ける人なんてどれくらいいるものなんだろう。
そうなれたら素敵だな。
月島くんの言う通り、自分が独占欲が強いタイプなのだとしたら尚の事である。
きらきら光る新品の指輪を指にはめて幸せそうに笑う友人の顔をふと思い出す。
私もいつか、あんな風に笑って好きな人にもらった指輪をはめられる日が来るといいな。
そう考えていたら、友人の幸せが伝染してきて、自然に笑顔がこぼれていた。