第8章 春への道
そんな中、田中先輩がまた口を開く。
「それにしても、やっぱり今年も増えたよな、カップルがよ……」
「ああ……。これからクリスマスに向けてやつらは更に勢力を増していくぞ、龍。」
「あーーっまたあの俺の宿敵クリスマスの季節がやってくるのか畜生ーっ!!」
「まだ結構先ですよね?」
ついツッコんでしまったけど、今はもう10月も半ばを過ぎた頃。
11月に入って街中にクリスマスツリーが登場してからの約1ヶ月半は毎年驚くほど早いものだ。
それを発言したあとで思い出す。
「カップルって言えば、私の友達も一人彼氏できたみたいです!昨日帰りに告白されて、その足でお店行って指輪買ってもらったみたいで!今日してきてました!」
「な、何……!それはまさか、ペアリングというやつか…?!」
「多分そうなんじゃないかと。」
「けしからーん!!高校生がそんな装飾品を学校につけてくるなんぞ!!!」
「何風紀委員みたいなこと言ってんだよ田中。お前が気に入らないのはただ単にいちゃいちゃしてるカップルだろ?
装飾品つけてきてるやつなんて普段からたくさんいるじゃんか。いい加減そういう僻みやめろよ。」
「スガさんのガチなツッコミは毎回、結構心に来るっす……」