第8章 春への道
影山くんの発言を受けて田中先輩は更に人相を悪くし、影山くんに詰め寄る。
「何だね影山くん、その言い草は。声をかけてきて下さる女神様たちに向かって!!ちょっとそのツラ貸せやコラァ!!」
「……俺は!こいつじゃないと意味がないんです!」
影山くんが、びっと私のほうを指さす。
思わずドキッとしてしまう。
「影山にここまで言わせるなんて……。やっぱりお前、すげえな菜月。」
田中先輩が私の方を見やって言うけど、恥ずかしくて何と答えたら良いのか分からず、返事はできなかった。
「ほーんと、単細胞って良いよね。何も考えないでその時の感情だけで突っ走って行動できちゃうんだから。」
「ああ?!んだと月島コラ!」
「まあでも、敵ながら今回のは天晴って感じだったよな……。」
菅原先輩が苦笑を浮かべながら呟く。
「菜月があの場で、“ごめんなさーい!!”って叫んでくれてたら俺、一生笑い止まらなかったかも。
マジでフラれればよかったのに。影山くんのガチへこみ、見たかったなー!」
「お前はどうしても俺に殴られてえみたいだな日向この野郎……!!」
狭い部室の中で日向くんと影山くんの追いかけっこが始まってしまった。