第8章 春への道
「飯誘ったのはいいんだけどさ…。俺、女子が好きそうな店とか全然知らないんだけど、今何食いたい気分?」
「え!そんな!奢ってもらう立場ですし大地さんの行きたいところに行きましょう。」
「うーん……そうか?俺の行きたいとことか言ったらラーメン屋とかになっちゃうけど。」
大地さんは何故か申し訳無さそうに私に告げる。
「?だめですか?ラーメン。」
「いや…仮にも女子と二人で行くのにラーメンはないのかなあと思ってさ。」
「私、ラーメン好きですよ!」
私の返事を聞いた大地さんは苦笑を浮かべていた顔を笑顔へと変えてくれた。
「……そっか!よく考えたらお前はそういうこと、いちいちうるさく言うタイプじゃないもんな。」
「おいしければそれでいいです…」
何がそんなに面白かったのか、大地さんは声を上げて笑っている。
ひとしきり笑ったところで、また私に笑顔を向けて口を開いた。
「おし!それじゃあ俺の一番気に入ってる店のラーメン、食いに行こう。」