第8章 春への道
最後のイベントが終了したことで、校庭に集まっていた人たちが一斉に動き始めた。
私達も人の波に乗って校庭を後にする。
友人と連れ立って歩いていると、後ろからよく知る声に呼び止められた。
振り向く前に体が緊張する。
「影山くん………」
思った通り、振り返った先には影山くんの姿があった。
「菜月、私先に帰るね。ごゆっくりー。」
「え、ちょっと…!」
気を利かせたつもりなのか、友人はさっさとその場から離れ、あっという間に帰って行ってしまった。
ほとんどの生徒が帰ってしまったあとで静まり返った校舎前で、影山くんは口を開いた。