第8章 春への道
そんな私を見て、一緒にいた友人が苦笑しながら背中を擦ってくれた。
「ほらほら、そんな泣かないのー。」
「だ、だって………皆、結構成功してて良かったなって思っちゃって…」
「まあでも確かに泣けるよねえ。憧れるシチュエーションだし!」
友人の言葉に頷いてから、ポケットから出したティッシュで鼻をかむ。
「あ、次でラストっぽいよ。…………って、え……?」
「どうかしたの?」
屋上を見つめる友人の表情が止まる。
不思議に思い、私もその視線の先を追った。
次の瞬間、涙なんて完全に引っ込んでしまった。
屋上に立つ人物は、私のよく知る相手だったからだ。