第8章 春への道
後夜祭での出番も終わり、私はようやくほっと一息つくことができた。
いよいよ後夜祭もフィナーレを迎えようとしている。
今はラストの企画である『烏野名物!愛を叫べ!!』が行われている最中だ。
体育館に集まった生徒がぞろぞろと校庭に移動し、一様に屋上を見つめている。
屋上に代わる代わる登場する生徒によって繰り広げられる感動の告白劇に、私は涙を抑えることができずにいた。
田中先輩は“笑える”とか“ふざけ半分”みたいなことを言っていたけど、少なくとも今年の参加者に関しては皆まじめで、ずっと伝えられなかった思いを真剣に告白していた。
今もまた一人、3年生の男子生徒が屋上に現れ、同学年の女子の名前を叫んでいる。
「1年の頃からずっと好きでしたー!!!俺と付き合ってくださいー!!!」
呼びかけられた女子生徒は、大きな声で叫び返す。
「よろしくお願いしますー!!!」
その声に、周囲から“おおおー!!”と歓声が上がる。
校庭に拍手が鳴り響く。
私も、もちろん拍手を送る。
もう涙が止まらない。