第2章 新生活
「 お前の音楽の好みが、月島色に染められていくのを見てるのなんて、絶対我慢ならない! 」
「えっ……月島色に染められるって…」
菅原先輩には悪いけど、先輩にしては大げさで少し笑ってしまった。
「わ…笑い事じゃないだろ!」
「だって、なんか…」
笑いが止まらない私を見て、菅原先輩は続ける。
「と、とにかく!//俺のおすすめも聴いてみてほしいと思ったの!」
「ありがとうございます、嬉しいです!」
これは本音だった。
先輩がわざわざ作ってきてくれたなんて。
「人におすすめしてもらった曲とかアーティストって、聴いてるとふいにそのおすすめしてくれた人のこと、思い出したりしない?」
菅原先輩の言葉に、一拍おいてから頷く。
確かに、最近月島くんのことを考えている時間が増えたような気はする。
「だからさ。……ね、そういうことだよ!」
「え?」
「だっ…だから俺がCD作ってきた意味だよ!//」
「……?」
こんなにまわりくどい菅原先輩は初めてかもしれない。
私が黙っていると、顔を赤らめた先輩は、あーもう!と自分の髪をぐしゃぐしゃにする。
「とにかく、帰ったらそれ、聴くこと!そんでもって俺のことを思い出すこと!以上!」
「あ……」
少しだけ、さっきの先輩の言葉の意味が理解できた気がしてドキッとする。
気がつけば、駅はもう目の前だった。
「じゃあ、また明日な!」
いつもは改札を通るところまで一緒だけど、菅原先輩は今日は先に走っていってしまった。
残された私は、先輩からもらったCDを片手に、呆然とするのだった。