第2章 新生活
その後、月島くんとCDのやりとりをする機会が何度もあった。
もらってばかりでは悪いから、押し付けになっては良くないけれど1枚私のおすすめも渡してみた。
気に入ったのかどうかは正直よく分からないけど、どちらにせよ最近月島くんと仲良くさせてもらっている。
最初に、仲良くなるのは時間がかかるかなと思っていたので、この展開は嬉しかった。
帰りは相変わらず菅原先輩と一緒だけど、行きは影山くんに偶然会わない限り基本的に一人なので、その時間は私のミュージックタイムになった。
月島くんのおかげで、かなり音楽の好みの幅が広がったと思う。
ウォークマンは私の必須アイテムになった。
そんなある日の帰り道のことだった。
「あ、あのさ……」
菅原先輩が切り出しにくそうに、口を開く。
「どうしました?」
「これっ、良かったらもらって!」
菅原先輩がカバンから取り出したのは、最近触れる機会の多いCD-ROMの薄いケースだった。
「これ、菅原先輩が作ったんですか?」
「うん、そう。最近月島と何かたくさんCDのやりとりしてるじゃん?それでさ……菜月、月島のおすすめ随分気に入ったみたいだから。……。」
いつになく歯切れが悪い菅原先輩。
顔を俯けて、目も合わせてくれない。
そうかと思えば今度は急に立ち止まって私のほうに向き直る。