第8章 春への道
「いえ、その通りです。部の皆に向けて歌いました。私、マネージャーになって皆に出会えて本当に良かったです。」
「か、可愛いこと言いやがってー!!!」
田中先輩が右腕で目元をごしごしこする。
田中先輩は人情に厚くて、結構涙もろい。
私は田中先輩のそういうところが、普段からとても良いなあと思っていたりする。
「そ、そんな泣かないでください…!」
「いや、でも何か分かる…」
「俺も…」
「俺もだ…」
「えええー!!」
菅原先輩が田中先輩の涙を肯定したかと思ったら、残りの3年生二人もそれに同調して3年生は全員涙ぐみ始めてしまった。
「俺たちもさ、菜月がマネージャーとして入ってくれて本当に良かったと思ってるよ。最後まで一緒に頑張ろうな。」
大地さんの言葉に、今度は私が涙ぐんでしまう。
「菜月、泣くなって!ほらもっかい!!」
西谷先輩がまた両の掌をこちらに向けてくる。
「「いえーい!」」