第8章 春への道
確かに田中先輩は普段からそういうことに敏感な気はするけど、告白イベントなんかがあるのだから文化祭の後にカップルが増えるのも頷ける。
実際にイベントに参加せずとも空気に便乗して個人的に告白する人も多いのだと思う。
田中先輩に詰め寄られる月島くんから視線を外すと、ふいに影山くんと目が合った。
その時、私はつい屋上に立って叫ぶ影山くんの姿を思い描いてしまう。
影山くん、開き直って
「お前が好きだコラー!!」
とか言いそう……。
思わず日向くんのように笑ってしまった。
「菜月…お前なに人の顔見て笑ってんだコラ!!!」
「ぎゃー!!」
追いかけてきた影山くんに頭を鷲掴みにされる。
「何で今笑ってたんだ、言えよ…!」
「屋上から叫ぶ影山くんを想像しちゃいましたごめんなさい」
「ああ?!」
鋭い視線に射抜かれる。
ああ、私はほんとに一日一回は必ず影山くんに凄まれている気がする……
それだけ影山くんの気に触ることをしているんだろうから、何で影山くんが自分のことを好きなのか、私はたまに分からなくなるのだった。