第8章 春への道
「えー!!すごーい!それ、一生の思い出になりますね。」
「………そういうこと、されたいわけ?」
「え?」
月島くんがやけに真剣な表情で問いかけてくる。
「ステージ上で告白されたいの?」
「あ、いや…なんていうか。夢見ちゃったりはするけど実際はきっと恥ずかしいよね。だから見てるだけで充分かなあ。」
「ふーん………でもさ、あんなとこで告白されたら断りにくそうだよね。」
そう言って月島くんは私に近付いてきて私の顎に手をかけ、持ち上げる。
「そういうことなら、菜月を相手役にして出てみようかな。」
「ええ!??」
「な、何言ってんだ月島!!」
影山くんが月島くんの腕に手をかける。
それによって月島くんの手が、私から離れた。
「触んないでくれる、王様。」
本当に嫌そうな表情で月島くんが呟いた。
「てめえがおかしなこと言い出すからだろうが!!」
「悔しいなら君も出場して公開告白でも何でもしてみたらいいじゃん。そこでフラれたらずっと言い続けられるだろうから、良い笑い者だけど。」
「何でフラれるって勝手に決めてんだコラ…!!」
「だって僕の方にOKしたら自動的にフラざるを得ないじゃん。……ていうか熱苦しい。離れてよ。」
月島くんは、迫り来る影山くんを軽く押しのけた。