第8章 春への道
私の発言に驚いた様子の影山くんが大きな声を出す。
「部活前に実行委員のやつに声かけられたんだけど急いでてほとんど話聞いちゃいなかったから…。そんなもん出るわけねえだろ!!」
「だよね…」
「影山がミスター烏野とか…!!女子ってほんと見る目ないな。」
そう言って吹き出す日向くんを目ざとく見つけた影山くんがゲンコツを一発お見舞いする。
「僕もそんな見世物になるのはごめんだね。」
選出されたらしい当の本人である月島くんも、ようやく話に入ってきた。
「ああいうのは目立ちたいやつだけ出ればいいよ。」
「でもツッキーなら絶対優勝できると思うのに!もったいないなあ…」
「………興味ないよ。」
月島くんは、山口くんの言葉を軽く一蹴する。
でも私も実は山口くんと同意見で、出場すれば月島くんは優勝出来るんじゃないかなんて思ったので、何となく勿体無く感じた。
二人とも出場しないなら意味はないかもしれないけど、当日のミスター烏野で行われるステージ内容が気になった私は、たまたま持っていた後夜祭プログラムをカバンから取り出した。
それを見た日向くんが広げたプログラムを一緒に覗き込んでくる。
「おお、ステージ内容…。どれどれ…。…………!!!」
プログラムに目を走らせた日向くんは、次の瞬間転がって爆笑し始めた。