第8章 春への道
「ええええー!!!」
部活終わりの部室に私の声が響く。
山口くんとの雑談からもたらされた情報に、私は驚きを隠せなかった。
「ほ、ほんとに!!」
「うん。ツッキーはやっぱりかっこいいからね。選出されたって全然おかしくないし。それどころか実際、なれちゃうんじゃないかな。ミスター烏野に。」
まるで自分のことのように誇らしげに山口くんは言う。
「クラスで俺に話しかけてくる女子は大抵ツッキーのことを聞いてくるしね。」
「それって誇らしげに言うことなのか、山口……」
旭さんが小声で山口くんの言葉にツッコむ。
どうやら文化祭で行われる目玉企画のひとつの“ミスター烏野”に月島くんが選出されたらしい。
企画があること自体は知っていたけど、まさか自分の身近な人が選ばれるなんて。
まあ、月島くんの女子人気なら確かに頷けることではあるのだけど。
「それ、俺も何か選ばれたぞ。」
「え?!!」
話に入ってきたのは影山くんだった。
「で、出るって返事したの?!影山くんが?!」
「今日言われたばっかだし返事とかまだしてねえよ。だいたいどんな事するのかもよく知らねえし。俺、何かしなきゃなんねえのか?」
「本当に出るつもりなら当日ステージで色々やらなきゃならないことになると思うけど…」
「はあ!??」