第8章 春への道
「うーん、今まで歌ってもらったやつは皆いいけど……。」
数曲立て続けに歌ったので一度休憩を挟むことにした。
ドリンクを飲んで一息入れてから先輩に意見を求める。
「けど…何ですか!奇譚のないご意見を…!公衆の面前で恥かきたくないので。」
「いや、歌の評価ってよりは歌の内容の方。俺の勝手な意見だけどラブソングはやめてほしいかなって。」
「え?」
少し恥ずかしそうに先輩は言う。
「ほら、この前皆でカラオケ来ただろ。あの時最初に歌った曲ラブソングで、皆ちょっと勘違いしてたじゃん。」
「ああ……」
「そのくらい気持ち込めて歌えるってことなんだろうけど、そういうのは特別なやつの前だけにしてほしいなって。」
先輩はそれだけ言うと私から視線を外す。
私もモニターの方に向き直った。