第8章 春への道
突如として何もかも先輩に吐き出したい気持ちになってしまった。
「何だ何だ、どうしたんだよ。よしよし。」
先輩はいつものように私を落ち着けるべく、優しく頭を撫でてくれる。
少し気持ちが落ち着いたところで、私は事の経緯を先輩に説明した。
「え!菜月カラカラに出るの?!」
「なんか、成り行きでそういうことに………。だから少しでも練習しておかないとと思って…。」
「……そっかあ。……よし、じゃあカラオケ、行くぞ!」
「え?」
「この間俺がへこんでたとき、元気付けてくれたじゃん。今度は俺の番。それに、こんな時間から一人カラオケなんて許すことはできません!」
そんな…。
いつも元気付けてもらってるのは私の方なのに。
そう思ったけど、先輩が一緒に来てくれるなら心強い。
一人カラオケは初めてだったので少し不安に思っていた部分もあったのだ。
「ありがとうございます…」
心からそう伝えると、私の大好きな笑顔が返って来た。