第8章 春への道
落ち着いたところで、席に残してきた食べかけの料理たちのことが頭をよぎり、まだ少しお腹が空いていることに気付く。
「もう少し、食べたかったな……。」
「ああ?!お前まだそんなこと言ってんのか?!」
「だっ、だって…!」
影山くんにまた怒られると分かっていながら、つい本音を呟いてしまった。
それを聞いた大地さんが笑顔で口を開く。
「…よし、じゃあさ。皆で烏養さんのとこ行って肉まんでも食ってから帰るべ!」
「わーい!!やったー!肉まん肉まん!」
「喜んでんじゃねえ!」
また影山くんに頭をコツンとされた。
でも、何だか嬉しい。
初対面の人たちと会ってきた緊張のせいもあると思うけど、皆の顔を見るととても安らいだし落ち着いた。
皆と連れ立って歩きながら、ここが私の居場所なんだなあと改めて思う。
こんな風に感じる場所を見つけられて良かった。
こんな気持ちになれる人達に巡りあえて良かった。
そんなことを考えながら、私は頬の緩みを抑えられずに俯くのだった。