第8章 春への道
合コンも終盤に向かう中、目の前の彼は聞くのが当然と言った感じで私に話しかけてくる。
「なあ、連絡先教えてよ。」
「え、ええと…」
私は彼の勢いから逃れようと、言い訳を探す。
「ご、ごめんなさい。私ちょっと先にお手洗いに……」
そう言って素早く席を立ってお手洗いのほうへ急いだ。
でも、その直後。
追いかけてきた彼に手首を掴まれて止められた。
「代表決定戦で当たって、うちが勝ったら俺と付き合おうぜ。」
「え?!」
「俺、お前のこと気に入った!!」
彼の言葉に呆気にとられていると、至近距離に人の立つ気配がした。
その姿を確認した時、私は驚きを隠せなかった。
思わずその人の名前が口をついて出る。