第8章 春への道
ええと……この人名前なんだったっけ……
序盤の自己紹介の時なんて頭が真っ白で、相手側の人たちの話はおろか、自分が何を話したのかすらよく覚えていない。
「よっ!菜月ちゃんだっけ?」
「あ、はい………」
覚えてて、くれたんだ…
単純な私はそれだけで少し目の前の相手を見直してしまう。
やっぱり人は見た目じゃないのかな。
「さっきバレー部のマネージャーやってるって言ってたから話してみたかったんだよ。俺もバレー部だから。」
「え!そうなんですか!」
こ、この見た目で…!
そう思ったけど、それは口には出さないでおく。
「俺達が付き合ったら、代表決定戦で当たった時に絶対うちを応援しろよな!」
「ええ?!」
付き合うだなんて何をそんな気の早い……
そう思ったけど、ここはそういう場なのだった。
チャラくていかにも軽い感じの彼は、さっきまでは正反対にいたので友人にどんな声掛けをしていたのかはわからないけど、きっと積極的だったんだろう。