第8章 春への道
「菜月その頭なんだー!似合うじゃねえか!」
「あ、ほんとだ!似合う似合う!」
西谷先輩と日向くんが一緒にこちらに駆けてくる。
たくさん褒められると何だか満更でもない感じになってくる。
「そんなに褒めてもらえるなら、これからもう少し女子力とやらを上げるの頑張ってみようかなあ…」
「やめろよ。そんなもん上げられたら迷惑だ。」
「か、影山くん……」
「迷惑とかそういう言葉使うなよ影山ー。本当に素直じゃないな。ちゃんと“これ以上可愛くなられると他の男が寄ってきて困る”って言ってあげなさいって。」
「な、何言ってるんですかキャプテン!俺は別に…!!」
「顔赤いぞ影山ー!」
「うるせえ日向ボケェ!黙れこの野郎!!!」
大地さんの言葉に、恥ずかしくて俯いた。
日向くんは影山くんにかけたからかいの声のせいで追い掛け回されている。
影山くんの「迷惑」という言葉に一瞬頭を殴られたような気になったけど、大地さんのフォローのおかげで少し持ち直した。
おしゃれするのが迷惑とか言われるレベルでひどいなら、私はこのまま何もしないで干物になってしまいそうだ。