第8章 春への道
体育祭も無事に終わり、カレンダーは10月に突入していた。
まだまだ気温の高い日はあるものの、時折吹く涼しい風に着実に季節は移り変わっているのを感じる。
そんなある日。
私は友人から思いもよらぬ誘いを受けたのだった。
「え、合コン?!」
「どうしても女子の人数一人足らなくてさあ。菜月、お願い!」
「ええー…そんなあ…。初対面の男の人たちとご飯食べるのとか落ち着かないよー」
「そこを何とか!!私、どうしても出会いがほしいんだよー。菜月が来てくれないと人数集まらなくて中止になっちゃうかもしれない。」
「その囲い込み方は卑怯だ…」
「ね!私を助けると思って…。菜月の分はもちろん私が奢るから!」
「ほんとに!!」
食べ物で釣られると簡単に落ちるのが私なのである。
今も、返事をしてから気付いた。
ああ……。
でも、ただ単にご飯を食べに行くだけと思っておけばいいよね…?