第8章 春への道
「……言ったな。」
「え?」
「俺はお前に、かっこいいとかそういう台詞は好きなやつにだけ言えって前言ったよな。」
「あ………」
「俺は今からお前の彼氏を名乗るぞ。」
「ご、ごめん影山くん!今の無し!」
「ああ?!謝って済めば警察はいらねえんだよ!」
「ぎゃー!!!」
先程のリレーの時と変わらないスピードで影山くんが追いかけてくる。
私の脚力は、日々影山くんに追いかけられることによって鍛えられていたのかもしれない。
このあとクラス対抗リレーもあるのに…!
どうせ捕まると分かっているのに、追いかけられると逃げずにはいられない。
私が首根っこを掴まれるまでは、多分あと数秒。