第8章 春への道

第一走者の大地さんがスタートした。



このリレーというものは、スタートしてしまうとあっという間に自分の番が来るものである。



自分の番が後であれば後であるほど、どんどん首を絞められていくように感じて辛い。



今も、じわじわと前に並んでいる人がバトンを受け取っては消えていき、自分の番が段々近づいてくるのを感じる。



バレー部は現在2位というなかなかの好位置につけていて、それがまた私を緊張させていた。



今2位なら、絶対私の前の影山くんが抜いて1位でバトン回ってくるじゃん……。



私が走るこの順番は、他の部も皆女子だからそういう意味では絶対に敵わないということはない。



でも、やはり普段から運動している人たちばかりの為、そこは自分との大きな差だった。



「次の走者の人、並んでー！」



担当の先生の合図により、とうとうレーンに並ぶ段になってしまった。



もう、覚悟を決めるしかない。



やってやる。



私は思い切り自分の両頬を叩いて気合を入れた。