第8章 春への道
なんか、やる気出てきたー!
そう言って先輩はカレーを元気よく頬張り始めた。
先輩は、いつも未来を見据えて生きているように私には見える。
たまに迷うこともあるようだけど、それは誰だって同じだろうし、あって当たり前の事だと思う。
いつも私のことを助けてくれる先輩の、そういう落ち込むときに元気付けることができてよかった。
素直にそう思った。
そして、同時にこんなことも考えてしまう。
こんなに自分を求めてくれる人は、これから先現れるのだろうか。
先輩は事あるごとに将来の話を持ち出すから、私はつい先輩との先のことについて考えてしまうときがある。
先輩と付き合ったら。
先輩と結婚したら。
思い描く未来の自分は、いつも先輩の隣で幸せそうに笑っている。
勝手な妄想だと言われたらそれまでだけど、先輩との未来は私の頭の中で簡単に思い描くことができるのだった。
私は先輩とのそういう未来を無意識に願っているんだろうか。
だとしたら、それが好きっていうことなのかな。
いつも菅原先輩の笑顔を願うことに気付いた私は、目の前の先輩がおいしそうにカレーを頬張る様子をつい、じっと見つめてしまうのだった。