第8章 春への道
食事に行くのはいいとして、どこに行こうか。
そういう話題になった時、以前先輩が辛いものが好きだと言っていたことを思い出した私は、辛さ調節ができるカレー屋さんに行くことを提案した。
それを聞いた先輩は、表情を明るくして笑ってくれ、それだけで私は心がほっこりするのだった。
駅前にあるカレー屋さんに入った私達は向い合せで座り、メニューを広げる。
「俺、一番辛いやつ頼んじゃおうかな。」
「え?!ほ、ほんとに頼むんですか。一番辛いやつ…」
「うん?なんで?」
この前、皆でギャップの話になったけど、菅原先輩の辛い物好きも相当なギャップな気がする。
とてもじゃないけど私にはそんなふうには見えない。
「いや、何か…前も言ったような気がしますけどそんな風に見えないんで。」
「それ、ほんとによく言われるんだけど何でなんだろうな。」
「雰囲気が柔らかいからじゃないですかね?」
「そっか。なんか、菜月に言われると嬉しい。」