第7章 東京遠征
「でも赤葦さん…私、物凄く食べるんですよ…。そんなに何回も行かせるの申し訳ないです。だから自分で何とかします。」
なら食べる量を減らせよと自分の中の何かがツッコんできたけど、こんなおいしそうなものを目の前にして黙ってはいられないのだ。
「気にしないで。俺がやりたいだけだから。」
サラッとそう言われて、思わずお肉を咀嚼する口の動きが止まる。
「赤葦さん、面倒見が良いですよね…」
「まあ、そうならざるを得ないっていうか…。エースがあんな感じだからね。」
赤葦さんは遠くではしゃぎながらお肉を食べている木兎さんを眺めながら言う。
「あはは…でもそういうの尊敬しますよ。私、全然気が利かないタイプなんで。こういうときも本当は女子なんだから食べてばっかりいないで、もっと気を利かせて動かないととは思うんですけど…。」
「女子なんだからとかは別に気にしなくてもいいんじゃないですか。気を遣う側の人間は、気を遣われると逆に疲れるもんだし。」
「え、そうなんですか?!」
「……少なくとも俺はそう。誰かの面倒見てるほうが性に合ってるんだと思う。」
「ええ…そんなこと言ってみたい…。」
そう言って、私はまた新しいお肉を口に入れた。