第7章 東京遠征
「大丈夫?取りますか?」
「あ…赤葦さん……!」
私が満足に答える前に彼は私の持っていた紙皿と箸を奪って網の側に行く。
そして良い状態に焼けたお肉を取って戻ってきてくれた。
「はい。」
「あ、ありがとうございます…!!いただきます…!!」
赤葦さんのお陰で思ったよりもだいぶ早くお肉にありつけた。
「おいしいー…!!赤葦さんも食べてますか?今度は私が取ってきましょうか?」
「俺もちゃんと食べてるから大丈夫。…それに、あの中に女子はなかなか入っていけないでしょ。次も俺が取ってくるから言って。」
赤葦さんは網の近くに群がる各校入り乱れた部員たちを見ながら言う。
確かに、ちょっと難しそう…。
そして今気付いたのだけど、赤葦さんは私との会話に混ぜるタメ口が少し多くなってきている。
それだけで赤葦さんとの関係が「他人」から少し昇格した気がしてくるのだった。