第7章 東京遠征
月島くんは、ワークブックを私の背では到底届かないようなところにまで掲げてしまう。
ついムキになってジャンプするけど、全然届きそうにない。
そんなことを繰り返すうち、着地の瞬間によろけて目の前の月島くんに抱きついてしまった。
慌てて離れる。
動揺しているのは私だけらしく、月島くんはいつもの表情を崩していなかった。
少しだけ笑って、私の頭にワークブックを乗せてくる。
「はい。」
「あ……ありがと。」
「……それさ。」
「え?」
「宿題。どうしても分からないとこあったら、僕に聞きなよ。頼み方によっては教えてあげなくもないから。」
「ほ、ほんとにー!!!」
思わぬ申し出に、つい本気で喜んでしまう。
「…だから、菅原さんに頼んだりしないで。」
「………月島くん…」
月島くんが少し赤くなっているような気がするのは、私の気のせいだろうか。
何だか私まで恥ずかしくなってくる。