第7章 東京遠征
「でも正直な話、いくら言い寄られようが自分の好きな相手じゃなければ所詮意味無いですよね。」
月島くんはそう言いながらちらりとこちらに視線を向ける。
「ねえ?」
「え、ええと……」
「…それに関してはその通りだな。」
影山くんも珍しく月島くんに同調して私の方に視線を向けてくる。
目のやり場に困って私は俯いた。
「しかし…ギャップか…。俺はどうやって打ち出していけばいいんだ…」
「そうやって考えてひねり出そうとしてる時点で、魅力的なギャップには繋がらないんじゃないのか田中?」
田中先輩の呟きに答えたのは、今私達の輪の中に入ってきた菅原先輩だった。
「ス、スガさん…!!そうか、スガさんはギャップというよりは素でモテてるタイプの人だ!」
「は?俺が?俺なんて別にモテてるうちに入らないと思うけど…」
「……嫌味すかスガさん…」
「そんな目で見るなよ田中…」
「女の人はやっぱりなんだかんだ言って優しさを求めますしねえ…」
私がそう呟くと、田中先輩も続く。
「スガさん、彼女とかめっちゃ甘やかしそうっすよね。」
「まあ、基本的にはな。必要があればちゃんと怒るけど。」
「飴と鞭の使い分け…!!じ、実はスガさんもギャップでそういうときだけドSになるとか…」
「こら!菜月の前で変なこと言うなよ田中!!」
菅原先輩は慌てて私にフォローを入れてくる。
「別に俺、そういうんじゃないからな!変な趣味とかないから誤解するなよ?!」
「は、はい…」
一瞬、さっきの話を聞いてドSな菅原先輩を想像してしまったなんて本人には言えない。
まあ、そういうのが好きな人にとってはそれはそれで良い意味のギャップなのかもしれないけど。