第7章 東京遠征
「誰が頭が弱いって?ああ!?」
背後からの声に、再び私の肩が縮む。
振り返ると、案の定そこには影山くんの姿が。
月島くんも影山くんも、さっきまでは部屋にいなかったのに…と思っていたら、どうやら1年生組は今しがたお風呂から戻ったところだったらしい。
「しかし頭の悪さまで武器になるとは…心底腹立つぜ影山…」
田中先輩の言葉に、影山くんは私に向けていた視線を先輩の方へ移した。
「…つか、なんの話すか。」
「お前らがモテるのはギャップ萌えだからじゃねえかって話だよ!」
「は?モテる?!……何かの間違いじゃないすか。」
「自覚なしかよ!…俺は何度も聞いたことがあるぞ…すれ違いざまに女子が恥じらいながら“影山くんてかっこいいよねー”と囁き合うのを!!!」
「なっ…!!」
田中先輩は女の子の台詞の部分だけ高い声を出す。
それがとても上手くて私は思わず笑ってしまった。
当の影山くんは田中先輩の話を聞いて照れたのか固まっている。
「その度に俺がどんだけ悔しい思いをしたかお前に分かるか影山ー!!恥じらう女子を捕まえて影山はお前らの思ってるようなやつじゃないと何度諭そうと思ったことか…」
「言ってやれば良かったじゃないですか、田中さん。」
「うるせえ月島!お前のモテ方はもっとあからさまだから影山より罪は重いんだよ!!」
田中先輩の大声を浴びた月島くんは本当にうるさそうな表情を浮かべて耳に指を突っ込んだ。