第7章 東京遠征
合宿5日目の夜。
男子部屋の前を通りすぎようとしたところを、部屋から顔を出した田中先輩に引き止められた。
「菜月!ちょっと来てくれ!」
「?はい。」
そう言われて訳のわからないまま男子部屋にお邪魔する。
すると、田中先輩の向かった先には西谷先輩と音駒の猛虎さんが神妙な顔をして座っていた。
田中先輩の後に続いてその輪の中に入り、腰を下ろす。
「猛虎さんも来てたんですね。」
何気なくそう言うと、目の前の猛虎さんは顔を真っ赤にして口をパクパクさせた。
「じょっ……女子に下の名前で呼ばれてしまった…!!」
「お、おいしっかりしろー!!」
田中先輩の呼ぶ声も虚しく、猛虎さんは崩れ落ちる。
それを見て田中先輩が困り顔をこちらに向けた。
「なんで下の名前で呼んだんだよ…」
「いや、この前聞いた時から印象的な名前だなと思ってたのでつい…!」
「女子に免疫のない男殺しだぞそれは…」
「ご、ごめんなさい…」