第7章 東京遠征
体育館を出て、まず向かったのは昼間にスイカを食べたあの木陰周辺だった。
とても小さいポメラニアンだったので、探すのも結構大変かなと思っていたのだけど、その子は案外すぐに見つかった。
木の側をウロウロしているところを影山くんが先に見つけてくれた。
「やっぱりいた………!!!」
おいで、と手招きするとその子はすぐに私の胸に飛び込んできた。
心細かったのかもしれない。
可哀想に……。
昼間からずっとこの辺りをウロウロしていたなら相当疲れたろうし、お腹も空いたことだろう。
私は用意してきたものをこの子に与えることにした。
ポメラニアンは、案の定すぐにそれに飛びついた。
それを見て、影山くんが口を開く。
「お前、用意いいよな…」
「だってお腹空いてるかと思ったからさ。」
「…でもよ。見つけたのはいいとして、これからどうするつもりなんだよ。」
「あ………ええと…」
「メシの世話のことしか考えてなかったくせに探すとか言ってたのかよ!」
「ごめんなさいー…」
影山くんに謝っている途中ではたと気付く。
もしかしたら…。
お腹が膨れて少し落ち着いたらしいポメラニアンの首輪をよく見ると、やはり。
飼い主の連絡先が書かれていた。
「よし、ここに電話すれば迎えに来てもらえるよね!良かったあ…」