第1章 出会い
ホームルームが終わった瞬間、隣の席から伸びる手に腕を掴まれた。
「よっしゃあー!水沢さん、行こう!!!」
「ええ!ええー!!!」
有無をも言わさぬそのスピードで、少女漫画のごとく手を引っ張られ、校舎を駈けずり回される私。
もう限界…と思ったところで気がつけば、目の前には体育館があった。
中からはボールが弾む音が聞こえている。
もう誰か練習しているんだ。
「おおっ…もうやってる!水沢さん、行こう!!!」
「いやちょっと日向くん、私は…」
また日向くんに引っ張られ、体育館内に入ると、そこにはジャンプサーブの練習中の人が一人。
初めて見る生のジャンプサーブ。
その迫力は凄まじく。
一瞬時が止まったようにすら感じた。
やはり、テレビで見るのとは比べ物にならない。すごい。
言葉をなくして固まっていると、横で何やら日向くんが叫んでいる。
どうやら、ジャンプサーブの彼と知り合いだった様子。
「お前もバレー部入るのか?!」
「ああ?!悪ぃか?!」
あまり良い知り合いではなかったみたい…?
この隙に失礼しようかと思っていたら、今度は別の人に声をかけられてしまった。